電脳硬化症(801型)発症中。   拍手する

ゴルゴ0907Home


スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

パサ小説パート2(前編)
おおおお執拗にねちねちと書いてたら思いのほか長くなってしまいましたので前後編に分けます…。
いいとこで切れてます!が、どうぞ。




■INVINCIBLE(前編)








 「あいつ、こんなに正義感丸出しじゃ、 やられるに決まってるじゃねぇか!」

 笑い男事件の調査を独自に展開したトグサだったが、黒幕である厚労省の麻取によって瀕死の重傷を負わされ、危険は承知で手術と同時進行で9課に自ら記憶を提供した。それにダイブしながら思わず感情的に大声を出したのはトグサのパートナーであるバトーだった。

 だが、それ以上に内心人一倍ナーバスになっているのはサイトーだった。相変わらずのポーカーフェイスでそれに気付く者はいなかったが、バトーの感情とは違う苛立ちが静かに腹の中で膨れ上がるのをサイトーは感じていた。

 ーーーーートグサは足手纏いだ。
 これだから集団行動を強いられる職場は嫌なんだ…。
 
 スナイパーである彼はその職業柄のせいか集団行動というものに馴染めない9課でもある意味一人浮いた存在ではあったが、普段はそれなりに職場の人間ともよろしくやってはいる。だがこういう事が起こるとたちまちスナイパーである性が浮き彫りになる。

 ーーーーー『正義』とは…
 なんて甘美な響きだろう。 戦場では正義を掲げればどんな殺しも正当化でき、只の殺人者が英雄と祭り立てられる。それは時折プロパガンダとして機能するが実戦の現場ではむしろ情動のセーブが効かない無能になりはてるのがセオリーだ。糞の役にも立ちはしない。

 罪を裁くのは正義などではない。罪を裁くのは法律だ。法律が機能しないような役人の犯罪を非公式に調査するのが9課のライフワークと化している状態ではあるが、そこに正義などという個人的感情を持ち込まれては面倒にも程が有る。これはトグサ一人の問題ではなく、そういう感情は感染していくものなのだ。バトーの発言がそれを物語っている。少佐が今のバトーを現場から外したのは懸命だが、使えない人間が結果的に2人も出てしまっている現実がやりきれない。

 少佐がトグサの様な人間を9課に入れた理由は分かる。バランスという意味で、ああいう男がここに必要で、それが功を奏して事件解決へ導いたものも有るのは認める。だが…
 
 トグサは足手纏いだ…。
 
 そう思考をループし始めるとトグサという存在そのものが、自分が実戦で命を張って培って来た生き延びる為の基本法則をねじ曲げていくようなものに思え、肥大していくアイデンティティに押しつぶされそうな不快感を押さえる事が出来ない。
 
 トグサは少佐が認めた男なのだ、それでも。…それだから…。

 余計に苛立つのだ。

 

 そんなサイトーの胸中を他所に、9課はバトーを除く面々で事件解決へとコマを進める。少佐の命令に従いサイトーとパズは黙って現場へ向かう。厚労省から盗まれた村井ワクチン接種者リストの中の最重要人物であろう今来栖の捜索が早急に進められたが、今来栖邸はすでに襲撃された後で、めぼしいものは何も残っていない様だった。

 今来栖邸の残骸の中、ちっ、と舌打ちしてあたりの粉塵を蹴飛ばし、一瞬ではあるが感情を露にしたサイトーの気配に気付き、視線をやる男が一人。
 何見てやがる、と不躾な視線にサイトーは睨みをきかせた。
 
 パズが無言で視線を外すと同時に、雲行きの怪しい空からパラパラと小雨が降り始めた。
 
 麻取と9課と、どちらが先に今来栖へたどりつけるのか。いずれにしても厚労省のなりふり構わずな行動から察するに今来栖確保が容易でない事は明らかだった。

 切迫した空気の中、完全装備のまま偽装バンでそのまま待機を命じられていたサイトーとパズではあったが、程無くしてイシカワとボーマの捜索により今来栖の居場所がつきとめられ現場へ急行する事となった。

 現場には9課ビルからヘリでバトーが飛ぶのが一番近いであろう、既に今来栖の部屋へ窓から強行突入したバトーからは、光学迷彩で完全武装した麻取の連中も同時に現場のホテルに下から潜入していると告げられ、今来栖の生存確保は至難の業である現状が伺える。少佐も9課へ戻る最中の車を即現場へと向け、躊躇無くホテルのロビーへ突っ込むと次々と見事な手際で現場を制圧、退路を確保してバトーと今来栖の元へたどり着いた。パズとサイトーは間もなく現場というところで少佐が一人、アームスーツと対峙している状況である事が告げられ、サイトーは車内で対戦車ライフルを組上げて戦闘に備える。

 少佐の位置をイシカワに誘導されながら偽装バンを乗り上げたそこでサイトーとパズが目にしたものは、雨の中、ホテルの一階部分を半壊にしたと思われる海自の白いアームスーツが少佐の頭部を今にも踏み砕かんとする寸前のところだった。

 サイトーは冷静に対戦車ライフルの引き金を引いたが、直撃にも拘らずアームスーツを射抜く事は出来なかった。だがその反動で一瞬アームスーツの脚の下から解放された少佐はサイトーにそいつをよこせと一も二もなく命じ、破壊されもぎ取られた片腕の付根を露出しながらもう一方の腕で撃鉄を起こし、鬼の形相で対戦車ライフルをアームスーツの上半身に1mと離れていない位置から次々と打ち込んだ。アームスーツによって辛うじて貫通は免れたものの、無惨に変形したボディの中の人間からは苦しげに悲願する声が漏れるが容赦なく弾は次々と打ち込まれ、落雷のごとくすさまじい発砲音が幾度も幾度も雨の降りしきる郊外一帯に天変地異のごとく轟いた。

 


 ーーーーーーーー『それがどうした。』

 そう言わんばかりに少佐はサイトーの苛立ちを、思考を、理屈を、全て一瞬で凌駕してしまう。

 ああいう形で事を「表現しきってしまう」少佐に、特A級スナイパーである自尊心もなにも全て打ち砕かれ、自分がただの人間である事を思い知らされる。



 …ただの人間などとは全く違う次元でそこに存在する鋼の女…。



 


「…税金の無駄遣いだな、」
 
 パズがその壮絶な様を前にサイトーに呟く。サイトーはそれを無視してバンの助手席へ無言で引き上げた。パズの目には明らかにサイトーの様子がいつもと違う事がはっきりと見て取れたが、ひとまず少佐からライフルを撤収して少佐の壊れたボディとロビーの無惨な姿の車を引き上げにかかった。

 程なく偽装バンの運転席に戻ったパズはサイトーを助手席に9課ビルへと車を向けた。相変わらず硬直したまま押し黙る様子のおかしいサイトーを横目で一瞥すると運転しながら左手をハンドルからサイトーの右膝に乗せ変え、たまに別宅として使っているホテルの場所と部屋の暗証キーを電通で送った。

 「…これからお前はガイルとかいう男の尋問だろうが。」
 サイトーが口を開く。どうやら回線は開いてやり取りは聞いていたようだ。
 「…ゲイルだ。」
 「あの手のタイプは…間抜けにも律儀にうえの命令を保存していたり…手子摺ることはまずないな。」
 「どうだか…」
 サイトーはパズの左手を除けつつ、いつも「その時」を狙いすましたかの如く誘って来る男の周到さに、視線は感じずとも日々、この男に自分は観察されているのだと思い知らされる。

 だが、どうでも良かった。パズが任務で忙殺されホテルに来なければデリヘルでも呼べばいい。誰でも相手は構わない。脳裏に焼き付いた光景を、思考する事を遮ってくれさえすればそれで…。

 (後編へつづく…)

«パサ小説パート2(後編)

くくく…»

Comment

Leave a Comment

URL
Comment
Pass
Option 非公開

Trackback


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
手書きブログ
Calender
07 | 2017/08 | 09
S M T W T F S
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
Search
Recent Trackbacks
QR Code
QR
Profile
Mail Form

Name

Mail

Subject

Message


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。